宅録ユーザにも導入しやすい低価格帯マイクの充実が著しい昨今ですが、その中でも新星の如く出現して大きな注目を浴びたLEWITTのマイク。
今回はエントリーモデルの1つ、LEWITT LCT440PUREのレビューです。
目次
概要
LEWITTは2009年に設立されたドイツの音響機器メーカー。まだ歴史は10年くらいのとても新しいメーカーですが、初期製品からとても革新的なマイクを多数発表し一躍有名になりました。
それもそのはず、設立者の方は誰もが知る大御所メーカー「AKG」のエンジニアの方。経験をもとにブラッシュアップされた背品はとても高品質なうえ、エントリーモデルからプロ向けハイエンドマイクまで幅広い価格帯をカバーしていて、既に不動の地位を確立しています。
そんなLEWITTコンデンサーマイクのエントリー価格帯モデルの1つが、このLCT440PUREです。
仕様
付属品として専用のマイクホルダーとポップガードがついてきます。
どちらも独特な形で、非常に理にかなっていますしデザインもカッコいいです。
金属製なので、使ったあとに水洗いできるっていうのも個人的にポイント高いです。
形状はAKGのCシリーズのようにやや横長の形状。
マットブラックの塗装ですが、ややツルッとした手触りで指紋が目立つようなタイプではありません。漆黒のロゴがカッコいいですね。
グリルのメッシュはかなりぶ厚めで、調整のときにグイッと力を入れたら凹んじゃった…というような心配はなさそうです。
本体にローカットスイッチなどはついていません。
重さは意外とズッシリしていて質量感があります。中身がしっかり詰まってる感じ。
この価格帯としては全体的に非常にしっかりした印象です。
インプレッション
ボーカルを録音してみる
過去に何度か女性ボーカルさんのレコーディングで使用しているので、その時の感想です。
音の傾向としては、AKGの流れを汲んでいるだけあって高域の伸びが良く、とても爽やかなキャラクター。エアー感ある明るさが印象的で、ポップスに良く合う音色です。
マイクとの距離を少しずつ変えながら歌ってもらうと、中低域の存在感がけっこうはっきり変わるのが分かります。といってもそんなにシビアなわけじゃなく、立ち位置さえある程度維持しておいてもらえれば全く問題ないレベル。
むしろ曲に合わせて距離で空気感を変えられるのはマイクアレンジのし甲斐があって好きです。
元々宅録でオンマイク気味になることを想定されているのか、かなりマイクに寄って歌ってもらっても近接効果は少なめ。このあたりは初心者にも扱いやすくて良いですね。EQ無しでも楽曲に馴染みやすいタイプの音だなと思います。
特筆すべきこととして、LEWITTマイク全般にいえることですが、ノイズがとにかく少ないです。
どんなに静かな場所で録っても機器由来のサーッというノイズがある程度入ってしまうものなのですが、ほぼ無音っていっていいほど機器由来のノイズが少ない。
弱めの声で歌ったりウィスパー系の歌ではどうしてもマイクプリのGAINを上げなければいけないので、そういうときにこのノイズレスな特性は録り音に段違いの差が出ます。
ちなみに私はLEWITTのシリーズはLCT440PUREと一番安いエントリーモデルのLCT240proを使ったことがありますが、一番違うのは中~低音域の存在感です。
LCT240proは元々ゆるくローカットをしているようなスッキリさがあって、歌のオイシイ部分になる中~高域へがっつりフォーカスしている感じ。
LCT440PUREはもう少し低域も含んだ音の腰がある印象で、PUREというネーミングの通り、より自然さを感じます。
これは良し悪しというよりは、音のキャラクターの問題。
以前某所のレビューでも、プロの方が楽器収録であえてLCT240proをLCT440PUREを使い分けているという記事を見たことがありました。
個人的には抜けや爽やかさを演出したいならLCT240pro、ニュアンスを大事にしたい楽曲やウィスパーボイスではLCT440PUREが向いているかなと思います。
また、マイクプリのキャラクターを素直に引き出してくれるマイクでもあります。
すこし勢いがある曲ならISA Twoで少しドライブ気味に、ナチュラルに聴かせたい曲なら真空管系プリで空気感を出して…っていうような、マイクプリに合わせてとても表情豊かに音が変わってくれるので音選びが楽しくなってきます。
演技を録音してみる
ボーカルでもけっこうよく使う1本ですが、私はナレーションに使う機会も多いです。
とてもナチュラル且つ爽やかな音色で抜けがいい、でも低音のふくよかさもあって後で調整できるマージンが多いっていう所だとか、とにかく”使い勝手がよい”1本なんです。
自分の好みの問題ですが、RODEのNT-1やAKGのマイクだとちょっと耳にささるかもしれない、でもビンテージ指向のマイクだと地味すぎる…そんな時のちょうど中間をとってくれるのが、このLCT440PURE。
最近はまずこれを試してみてから他のマイクを選ぶっていうパターンが多くなりました。
また、高域が繊細なので嫌味のないエアー感も付加されて耳に心地よくなるのも良いです。
機器由来ノイズがとにかく少ないのもセリフでは非常に嬉しいところです。
しかも男性女性ともに相性がいい。セリフに関してはほんとオールマイティな1本です。
まとめ
新興ブランドながら、その確かな実力で既に定番になっているLEWITTのマイク。
その中でも価格と性能バランスがとても良いLCT440PUREは、モダンなデザインと堅牢なパッケージですごく安心感のある1本。初めてのマイクとしても、セカンドマイクとしても非常にお勧めです。
マイクをお探しの方はこちらの記事も併せてどうぞ!